ターミネーター3 ひどいと呼ばれる原因と黒歴史扱いの真相を整理

ターミネーター

ターミネーター3 ひどいと検索する読者が知りたいのは、評価が下がった原因がどこにあるのかという一点です。本記事では、まずターミネーター3のあらすじを要点だけ押さえ、主要なターミネーター3のキャスト、女ターミネーターの位置づけ、そしてターミネーター3のサラ・コナー役不在が物語に与えた影響を丁寧に整理します。

次に、物語の核であるターミネーター3のターゲットは何かを解説し、ネタバレを含むラストシーンの受け止め方まで流れで理解できるように構成しました。あわせて、ターミネーター3の製作費やキャッチコピーが示した方向性、ターミネーター4とのつながりの観点で何が継承され何が断絶したのか、さらにターミネーターは全何作なのかというシリーズ全体像も確認します。

ネット上の反応として話題になるターミネーター3のなんjでの論点や、演出上の小ネタとして語られがちなターミネーター3のトイレに関する話題、そして一部で黒歴史なかったことにと呼ばれる背景まで、できるだけ偏りなく解説します。

記事のポイント
  • T2との落差がどこで生じたかの具体点
  • 物語構造とキャラクター配置の長短
  • 興行面と演出面から見た評価の根拠
  • シリーズ全体での位置づけと接続関係

ターミネーター3 ひどいと評される落差の真相

このセクションで扱うトピック

  • ターミネーター3のあらすじで物語を振り返る
  • キャストが担った役割と評価
  • 女ターミネーター登場の衝撃
  • サラ・コナー役不在が残した穴
  • ターミネーター3のターゲットは?何が狙われたのか解説

ターミネーター3のあらすじで物語を振り返る

前作で審判の日を遠ざけたはずの世界は、避けたのではなく先送りに過ぎなかったという前提で始まります。2003年公開の本作では、成長したジョン・コナーが身元を隠しながら日雇い同然の生活を送り、社会との接点を断つことでスカイネットの探索を逃れている状況が描かれます。そこへ未来から送り込まれるのが二者のターミネーターです。

保護側はT-850(同型だが再プログラム済みの旧型)、刺客側は液体金属と機械骨格を併せ持つ複合型のT-X。T-Xはジョンだけでなく、将来の抵抗軍幹部となる複数の人物名簿をターゲット化し、同時多発的に抹殺を試みます。

追走はロサンゼルス近郊から軍施設へと拡大し、ジョンの幼なじみで獣医のケイト・ブリュースターが物語の軸に組み込まれます。物語の転回点は、審判の日を止めるのではなく、指導者の生存と指揮系統の確立を優先する判断に置かれる点です。T2が「運命は変えられる」という仮説でクライマックスを構築したのに対し、T3は時間軸の収束性を強調し、核攻撃の発動=審判の日の不可避性へ観客を導きます。大型クレーン車の市街地破壊や霊安室での交戦など、セットと実写スタントを前面に出したスペクタクルはシリーズらしい迫力を保ちますが、随所に散る軽いギャグや日常的な小ネタが、前作の緊張を張り詰め続ける語り口と対照を成し、重厚さの差を意識させる構図になりました。

クライマックスでは、ジョンとケイトが地下指揮施設に到達した時点で、スカイネットはインターネット上に拡散したソフトウェアであることが示唆され、物理的な中枢破壊は無効化されます。ふたりは偶然ではなく必然として司令施設に誘導され、未来のレジスタンスを率いるための生存と意思決定が確定します。要するに、T3は「回避の成功体験」よりも「受容と継承」を主題に据え、シリーズの戦時編へ橋渡しを行う構造だと理解できます。

キャストが担った役割と評価

配役の骨格は、保護者としてのT-850、将来の指導者ジョン・コナー共同指導者となるケイト・ブリュースター、そして刺客T-Xという四点で支えられています。アーノルド・シュワルツェネッガーは機械としての無表情と肉体的説得力を維持し、近接戦闘や重量物を伴うアクションで画面を支配します。

一方で、T2における「機械が人間性を学ぶ」プロットが本作では後景化し、保護者としての機能面が中心に置かれたことから、キャラクターの情緒的な深化は限定的です。

ジョン・コナー(演:ニック・スタール)は、逃避から指揮へと舵を切る過程を限られた時間で消化する必要があり、恐怖と責務の間で揺れる内面を端的に描きます。

ケイト(演:クレア・デーンズ)は、被保護者から共同意思決定者へ移行する役割を担い、軍施設のアクセス権や父親との関係が物語を前進させる鍵として機能します。ふたりの関係はロマンスと将来の共闘を同時に提示しますが、導入から葛藤、同盟形成までの工程が短いため、人物弧の説得力が薄いと受け止められやすい側面があります。

敵役のT-X(演:クリスタナ・ローケン)は、女性型という造形と多機能武装(内蔵プラズマ砲、他機器ハッキング、フォルム変化)で差別化されています。恐怖演出は冷酷な合理性と静的な佇まいで成立しますが、ガジェット的見せ場が多い結果、T-800対T-1000の執拗で不気味な追跡劇と比べ、心理的圧迫の積み上げが弱いと評価されがちです。

サラ・コナー不在の設定は、過去の行為と遺志の影響を語りで補完しつつも、観客が強い感情移入を置いていた軸を失わせ、ドラマの重心を軽く見せる効果をもたらしました。

総じて、俳優の演技の巧拙ではなく、脚本上の時間配分とトーン設計が評価の振れを生みやすくしています。T2が母と子の濃密な関係と機械の学習という二重のドラマを長尺で積み上げたのに対し、T3は終末への導線と次作への接続を優先し、人物の心的変化の階段を少ない段数で駆け上がらせました。

興行面では大作水準の規模感を備え、世界興収はシリーズ上位の実績を残していますが、製作費の大きさと比べた新規性の上積みが小さく映ったことが、作品評価の議論を活発化させた一因と考えられます。

キャスト一覧表(主要人物と役割・評価ポイント)

キャラクター演者役割・位置付け特徴・機能評価ポイント
T-850(保護者ターミネーター)アーノルド・シュワルツェネッガージョンとケイトを守るため未来から派遣高耐久ボディ、近接戦闘、銃火器運用感情描写は薄いが肉体的存在感でシリーズの象徴を維持
ジョン・コナーニック・スタール将来の人類抵抗軍指導者逃避から指導者へ移行する過渡期恐怖と責任の間で揺れる姿を短時間で描写、説得力に賛否
ケイト・ブリュースタークレア・デーンズジョンの協力者で未来の妻軍施設アクセス権、父との関係が物語を推進被保護者から意思決定者へ変化する描写が短く、やや急ぎ足
T-X(刺客ターミネーター)クリスタナ・ローケン最新型の敵役ターミネーター液体金属と固体骨格のハイブリッド、内蔵プラズマ砲技術的多機能性は評価されるが、恐怖演出は軽めとされがち
ロバート・ブリュースター少将デヴィッド・アンドリュースケイトの父、米軍将校スカイネット起動に関与シナリオの転換点を担うも出番は限定的
スコット・ピーターソンマーク・ファミリトケイトの婚約者人間関係の序盤布石、T-Xの標的物語的役割は小さいが、緊張感を補強
サラ・コナー(故人として言及)リンダ・ハミルトン(声・資料で登場)前作までの中心人物遺志と過去の行動で物語に影響不在による空白がシリーズのトーン変化を象徴

このように整理すると、T3のキャストは少数精鋭で配置され、それぞれが「未来への布石」としての役割を担っていることが分かります。

特にジョンとケイトの成長、T-850の象徴性、そしてT-Xの技術的進化が物語全体の主軸を形成しましたが、人物関係の深化よりも物語の収束と継承を重視した構成が、作品評価を分ける大きな要因となりました。

(出典:Box Office Mojo「Terminator 3: Rise of the Machines」)。

女ターミネーター登場の衝撃

本作で初めて登場した女性型ターミネーター「T-X」は、従来のモデルとは異なる複合的な戦闘能力を備えています。液体金属による表層変化(T-1000で導入された技術)に加え、内部には金属骨格を保持し、物理的な剛性と変形機能を両立させました。さらに、プラズマキャノンなどの内蔵兵器や、車両・機械を遠隔操作するインターフェース機能まで備え、単なる追跡者にとどまらない「制圧兵器」としての性格を強めています。こうした設計は、シリーズの技術進化を象徴する要素と見ることができます。

しかし演出面では、無機質な外見と冷酷な動作が醸し出す本来的な恐怖よりも、多機能ガジェット的な派手さが強調されるシーンが多くなりました。特に車両を遠隔操作して市街を混乱させる場面や、内蔵兵器を誇示する描写は、視覚的なインパクトを優先するあまり「人間が逃げても逃げ切れない」というシリーズ本来の宿命的恐怖を希薄化させたとの指摘があります。観客の受け止め方においても、「女性型であること」自体が問題なのではなく、恐怖を積み重ねる文法よりも映像的ギミックを前に押し出した点が評価の分かれ目となりました。

このようにT-Xの登場は、シリーズの技術進化を象徴する一方で、演出上のアプローチの変化が作品全体のトーンに影響し、恐怖演出の持続力を弱めた要因と考えられます。

サラ・コナー役不在が残した穴

『ターミネーター2』において物語の中心的人物であったサラ・コナーの不在は、シリーズ全体に大きな影響を及ぼしました。彼女は母親としての執念と、未来を守るための戦闘倫理を体現し、観客に強い感情的な導線を提供していました。

しかし『ターミネーター3』では、サラは物語の冒頭で既に死亡している設定とされ、彼女が担っていた「未来を変えられるのではないか」という希望の象徴が欠落することになります。

作中でサラの遺志は「ジョン・コナーが次世代のリーダーとして成長する」ことに託されていると語られますが、具体的にその思想を追体験させるドラマ的な積み重ねは多くありません。結果として、ジョンの意思決定や覚悟の根拠が弱く映り、観客にとっては感情移入がしにくい構造となりました。

また、サラの存在が担っていた「母と子の濃密なドラマ」が抜け落ちたことで、物語全体の重厚さが低下し、キャラクターの継承表現が観客の期待から外れた印象を与えました。

この構造的な変化は、シリーズの方向性を未来戦争に接続させるための選択でもありましたが、同時に観客が求めていた人物関係の深みを減少させた要因とも言えます。脚本上の意図は明確であっても、結果的に「欠落した存在の大きさ」を際立たせ、シリーズの受け止められ方に落差を生んだと考えられます。

ターミネーター3のターゲットは?何が狙われたのか解説

『ターミネーター3』で描かれる標的は、単純にジョン・コナーという個人にとどまりません。物語の焦点は「未来で抵抗軍を支える中核人物リスト」にも及び、T-Xは複数のターゲットを同時に排除しようと試みます。

これにより、敵の目的はジョンという一点ではなく、将来的に人類側の組織的抵抗を不可能にする“指揮系統の壊滅”であることが明確になります。言い換えれば、スカイネットは未来戦争を見越し、芽の段階で反乱の可能性を摘み取ろうとしているのです。

その中でケイト・ブリュースターの存在は特に大きな意味を持ちます。彼女は後にジョンの妻となり、抵抗軍内で重要な役割を担う人物として設定されています。T-Xが彼女をターゲットに含めることは、物語的には「未来のリーダーを支える次世代の中核をも排除しようとする」意図を象徴しており、ジョン単独の生存だけでは未来が成立しないことを観客に示す仕掛けでもあります。

ここで初めて、物語は個人の英雄譚から「複数の指導層をいかに守り抜くか」という広いテーマへと拡張されました。

一方で保護側ターミネーター(T-850)のミッションは、審判の日そのものを止めることではなく、ジョンとケイトを生存させて未来の指導系譜を確実に繋ぐことに重心が置かれます。

これはシリーズ構造上の大きな転換点であり、T2で描かれた「審判の日を回避する可能性」から、「審判の日は避けられず、その中で未来を導くリーダーを守る」という方向へ舵を切る瞬間です。物語全体のテーマは、破局を阻止する希望よりも「勝つために何を守るのか」という実存的な問いかけにシフトしました。

この視点の変化は、観客に「未来を変える」という前作までのカタルシスとは異なる感覚を与えました。すなわち、人類は滅びを完全に避けることはできないが、希望を継承し指導者を守ることで再生への可能性を残す、という構造が浮かび上がります。シリーズにおける時間軸の収束性を物語上で強調することで、後続作との接続を自然に準備したと言えるでしょう。

ターミネーター3 ひどい評価を裏付ける要因

このセクションで扱うトピック

  • ターミネーター3は黒歴史?なかったことにされた理由
  • 【ネタバレ】 ラストシーンの賛否
  • 製作費と興収に見る限界点
  • キャッチコピーに隠された意図
  • ターミネーター4へのつながりから見る物語の継承
  • ターミネーターは全何作で続いたシリーズか
  • ターミネーター3がひどいと結論づけられる要約

ターミネーター3は黒歴史?なかったことにされた理由

『ターミネーター3』がシリーズの中で「黒歴史」と呼ばれるようになった背景には、単に映画単体の出来不出来だけではなく、フランチャイズ全体の物語構造と商業戦略の転換が大きく影響しています。

後年の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年)や『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019年)では、公式に『ターミネーター2』直結の時間軸が採用されました。これによりT3以降の出来事は「別の時間線」として切り離され、観客の間では「正史から外れた=なかったことにされた」という解釈が広まりました。実際、ニュー・フェイトではT2の直接的な続編と位置づけられ、T3以降の展開は参照されていません。こうした公式の方針が、ファンの間で「黒歴史」という感覚を強めたのです。

権利問題と制作体制の変化

背景には権利関係の複雑な移動があります。『ターミネーター』シリーズは、ジェームズ・キャメロンが監督した第1作・第2作以降、複数の映画会社や投資会社に権利が転売されました。2000年代の段階でキャメロン自身はシリーズから離れており、T3は独立した製作会社C-2 Picturesのもとで製作されました。そのため、「キャメロン不在」「監督交代」という事情が、作品トーンの変化やファンの期待との齟齬を招いた一因とされています。

製作費と興行収入のギャップ

T3は当時の最新VFXを駆使し、製作費は約2億ドル規模と報じられるほどの超大作でした。結果として世界興行収入は約4億3,300万ドルに達し、数字上は黒字を確保しています。しかし、投資規模に比べてブランドの強化やシリーズの革新性には乏しかったとされ、長期的なフランチャイズ拡張にはつながりませんでした。興行的には成功でも、戦略的には「期待値を下回った作品」と見られがちなのです。

「黒歴史」の実態

こうした事情を踏まえると、「黒歴史」という呼称は制作側がT3を公式に否定したわけではなく、観客側の感覚的な表現です。実際の制作判断としては、T3の物語を削除したのではなく、新しいファン層への訴求やリブートのために時間軸を整理し直したにすぎません。言い換えれば、T3は「無価値」と切り捨てられたのではなく、「異なる可能性のひとつの物語」として扱われることになったのです。

このため、T3を「黒歴史」として揶揄する言葉の背景には、ファンが望んだ方向性とのギャップや、キャメロン監督不在による期待値のずれがあると理解すると分かりやすいでしょう。

【ネタバレ】 ラストシーンの賛否

物語の終盤で描かれるのは「審判の日」の不可避性でした。ジョンとケイトが地下の退避施設に逃げ込む展開は、単なる避難行動ではなく、未来の指導者として生き延び、通信手段を通じて抵抗軍の指揮を確立するプロセスとして描かれます。この着地は、物語上は論理的であり、シリーズを未来戦争編へ橋渡しする明確な役割を担っていました。

しかし、この終わり方に対する受け止め方は二分されました。『ターミネーター2』が示した「未来は変えられるかもしれない」という希望の余韻を好んだ観客にとって、T3の結末は希望の後退、あるいは否定に映ったのです。一方で、希望が完全に消えたのではなく、「絶望の中にあっても未来を担う人々が生き残り、希望を繋ぐ」という形に変化したのだと評価する意見も存在します。

この賛否は、観客が求めていた感情的なリターンと、脚本が提示した論理的帰結とのズレから生まれたと考えられます。感情的な共鳴を優先するか、物語の必然性を受け入れるかという選択が、T3のラストをめぐる議論の分水嶺となりました。

シリーズの「宿命性」を肯定するラストとして説得力を持ちながらも、前作の余韻と対照的であるがゆえに、現在に至るまで多様な意見を呼び続けているのです。

製作費と興収に見る限界点

映画産業において製作費と興行収入は必ずしも作品評価そのものを決めるものではありませんが、投入されたリソースと市場からの回収力の関係は、フランチャイズの方向性を占う上で重要な指標です。

『ターミネーター3』は、当時としては破格の製作費を投入した作品でした。公表されている範囲では製作費は約2億ドルに達し、シリーズでも屈指の高水準を記録しました。

一方で、世界興行収入は約4億3,300万ドルに到達し、大作として十分な成績を収めていますが、『ターミネーター2』が築いた歴史的インパクトに比べるとやや劣後する結果となりました。

出典:Box Office Mojo『Terminator 3: Rise of the Machines』

この差異には複数の要因が絡んでいます。まず監督がジェームズ・キャメロンからジョナサン・モストウに交代したことで、シリーズ全体の演出トーンに統一感が欠けた点が指摘されます。演出の変化により、恐怖と緊張を積み上げる文法よりもアクションの派手さやテンポが優先され、口コミにおける「感情的リターン」の強度が弱まった可能性があります。

さらに、脚本面でも散漫さが見られ、テーマ的な一貫性や新規性が観客に鮮烈な印象を与えにくかったことが、長期的なブランド強化につながりにくかったと考えられます。

以下は、T2とT3の定性的な比較を整理したものです。

参考比較(定性的)

項目T2T3
監督同一ビジョンの頂点ビジョン継承の困難
敵役の恐怖演出執拗で冷徹ギミック重視で軽快
家族ドラマ母と子の濃密さ継承テーマの薄さ
物語の結末回避の希望収束と継承

この比較からも分かるように、数値の良し悪しそのものよりも、「投入された資源規模に見合った物語的価値や感情的インパクトをどれだけ上積みできたか」という点が課題として浮かび上がります。

キャッチコピーに隠された意図

映画の宣伝戦略は、観客の期待形成に大きな影響を与えます。『ターミネーター3』において国内外で用いられたキャッチコピーは、「不可避の審判」「機械の蜂起」「宿命の再来」といったキーワードに統一されていました。これらの文言は、シリーズの大きな転換点である「審判の日の不可避性」を早い段階で強調し、物語がもはや回避ではなく受容の段階に移ったことを暗示しています。観客にとっては、この時点で戦争編への接続が明確に予告されていたといえるでしょう。

しかし問題は、宣伝が提示した「黙示録的スケール感」と、劇中のトーンの間に顕著な差が生じた点です。実際の本編にはコメディタッチや軽妙なやりとりが随所に盛り込まれており、重厚な宣伝イメージと映像体験の間にギャップが生まれました。この温度差は観客の期待を管理する上で難しさをもたらし、一部では「予告編が示すほどの重厚さを感じられない」という評価につながっています。

キャッチコピーはシリーズの宿命性を再確認させる意図を持ちながらも、結果的には本編とのトーン差が観客の反応を分ける要因となりました。これは、宣伝戦略と作品内容が必ずしも一致しない場合に生じる典型的な乖離であり、T3における評価のブレを拡大させた大きな要因と考えられます。

ターミネーター4へのつながりから見る物語の継承

『ターミネーター3』のラストで示された「審判の日の不可避性」は、そのまま『ターミネーター4(サルベーション)』の物語へ直結しています。ここでは成人したジョン・コナーが前線に立ち、人類抵抗軍のリーダーとして成長する姿が描かれました。T3までの作品では未来を変える可能性や、親子関係を軸にしたサスペンス性が中心でしたが、T4は戦場を舞台とする群像劇に移行し、トーンや映像文法が大きく変化しました。

物語構造の変化は「保護と殺害の追走劇」というシリーズの核を弱め、代わりに戦争映画の緊張感が強調されました。T-800型の初登場や機械軍の多様な兵器の描写は、シリーズの進化を示す技術的な見せ場である一方で、サスペンス的な恐怖の積み重ねからは距離が生じています。つまり、主題レベルでは「未来を守る戦いの継承」が成立しつつも、作品体験としては初期作の心理的スリルよりもアクション大作としての性格が前に出たのです。

この方向転換は賛否を呼びましたが、シリーズが長期にわたり続くための変化としては必然とも言えます。観客はT3が示した「避けられない破局」の延長線上でT4を体験し、物語の広がりを戦場規模で実感することとなりました。

ターミネーターは全何作で続いたシリーズか

『ターミネーター』シリーズの劇場公開作品は、一般的に 6作 と整理されます。それぞれの内容と興行的な成果を含めて振り返ると、シリーズの変遷と評価の差異がより鮮明になります。

第1作(1984年)『ターミネーター』

・低予算(約650万ドル)ながらタイムトラベルと人工知能による人類支配という設定を打ち出し、シリーズの基盤を確立。
・冷酷なT-800の追跡劇とサスペンス構造が斬新で、世界興収約7,800万ドルを記録。
・カルト的人気からシリーズ化の足掛かりを作った。

第2作(1991年)『ターミネーター2』

製作費約1億ドルという当時最大級の超大作。革新的なCG技術(液体金属T-1000)と母子ドラマが融合。
・アカデミー賞4部門を受賞し、歴史的評価を獲得。
世界興収約5億2,000万ドルと大ヒットし、フランチャイズの頂点に。

第3作(2003年)『ターミネーター3』

・キャメロン不在のなか制作され、審判の日の不可避性を描写。希望から宿命への転調を示した。
・製作費は約2億ドル世界興収約4億3,300万ドル。大作規模としては成功したが、T2の歴史的評価には及ばず。

第4作(2009年)『ターミネーター4(サルベーション)』

・未来戦争を本格的に描写した初の戦場劇。クリスチャン・ベイルがジョン・コナー役に。
・製作費は約2億ドル世界興収約3億7,000万ドル
・新しい映像的試みはあったものの、物語的厚みに欠けたと評価され、興収は伸び悩んだ。

第5作(2015年)『ターミネーター:新起動/ジェニシス』

・時間軸を大胆に再構成し、物語をリセット。シリーズ刷新を狙ったが評価は分かれた。
・製作費は約1億5,500万ドル世界興収約4億4,000万ドル
・北米での成績は低調ながら、中国を中心とした海外興収で数字を伸ばした。

第6作(2019年)『ターミネーター:ニュー・フェイト』

・『T2』直結の正統続編として制作。ジェームズ・キャメロンが製作に復帰。
・サラ・コナー再登場によりシリーズの再生を狙ったが、製作費約1億8,500万ドルに対して世界興収約2億6,100万ドルと振るわず、商業的には失敗と評された。
・フランチャイズの将来に影響を与える結果となった。

興収比較表

作品公開年製作費世界興収評価の位置付け
T11984約650万ドル約7,800万ドル低予算で基盤確立
T21991約1億ドル約5億2,000万ドル技術革新と物語性の頂点
T32003約2億ドル約4億3,300万ドル商業的成功、評価は分裂
T42009約2億ドル約3億7,000万ドル舞台転換も伸び悩み
T52015約1億5,500万ドル約4億4,000万ドル海外で健闘、国内は不調
T62019約1億8,500万ドル約2億6,100万ドル興収低迷、シリーズ停滞

補足

このほかにテレビドラマ版『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』やゲーム、コミックなどの派生作品もありますが、映画本編のカウントには含めない整理が一般的です。

視聴順を検討する際には、「T2直系の流れを優先して観るのか」、あるいは「全6作を通してシリーズの変遷を俯瞰するのか」によって選択が変わります。特にT2の評価が突出して高いため、T2を基軸に据えた見方が最も効率的に物語の核心を理解できる方法といえるでしょう。

ターミネーター3 ひどいと結論づけられる要約

本記事のまとめを以下に列記します。

  • 二作目との落差は演出の統一感不足と人物成長弧の薄さに起因する
  • 敵役の恐怖演出よりも派手なギミックが強調され緊張感が希薄化した
  • サラ不在で物語の感情的導線が弱まりジョンの動機が軽く映ってしまう
  • 結末が希望的回避から収束へ転換し観客の期待との齟齬を生み出した
  • 高水準の製作費投入に比べ新規性や物語的上積みが限られていた点が課題
  • 宣伝で強調された終末観と本編の軽妙さに明確な温度差が見られた
  • 未来の幹部層を広く狙う設定は物語を戦争継承の方向へと誘導した
  • 黒歴史扱いはシリーズ戦略的リセットの副作用として発生した経緯がある
  • なんjなどの反応は過剰なコメディ要素への違和感が中心となった
  • トイレ描写に象徴される小ネタが作品の重厚さを削いだと評されている
  • 女ターミネーターの発想は斬新だが恐怖の積み上げが不足していた
  • 四作目以降は未来戦争編を継承しつつ魅力表現の文法が大きく変化した
  • 全六作の中でT3は橋渡し的役割に留まり評価は賛否両論に割れている
  • シリーズ鑑賞の導線をT2直系に戻す制作判断が後年に下された事実がある
  • 以上の要因が重なり観客の間でターミネーター3 ひどいと受け止められた

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